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「‥‥‥」
レイさんは黙ったままだ。
「よくよく考えれば可笑しいですよね、私がトランプの賭けで負けた筈なのに、気分が変わったと言ってホテルの一番いい部屋を取ったり、いつもはダメだと言うのに、あの日は3人で寝ましたよね」
「あの時は深くは考えませんでしたけど、‥本当に気分が変わったんですか?それとも‥―――」
私は一拍置いてレイさんに向かって厳しい声で言った。
「最後の思い出が欲しかったんですか?‥‥死んでしまう前に」
「‥‥ぁっ‥‥ぅぁ‥」
私がそう言うと弱々しい、普通のレイさんでは考えられないような呻き声が返ってきた。
「仕方ないんだよ」
それはレイさんでは無い声。
「今回は相手が相手だからね」
「レナさん!?どうしてここに?」
「話は聞いてるよ、シルベールの死文字は翻訳書があっても1、2日で解けるような物じゃないと踏んでいたんだけどね‥」
失敗したな、とレナさん。
「ところで、相手が相手って言うのはどういうことですか?」
「敵のリーダーは元レイの保護者兼教育がかりなんだよ」
「えっ?育て親はラグアさんじゃ‥」
「初めのうちはラグアさんはまだRFの隊長‥、任務やらでレイに構ってあげられる暇は無かったんだよ、だから代わりに保護者を買って出だのがその人なんだ」
「そしてラグアさんが司令部に昇格したころ、任務にも行かなくて良くなったときにその人にレイは引き取ると言ったの」
「じゃあその人はレナさんを取られたから‥」
「半分は合ってるけど、半分あってないよ」
「それは‥どういうことですか?」
私は聞き返す。
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