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「じゃあ、100円入れますね?」
「あ、はいはいはい💦」
挙動不審な人に思われてるに違いない。
でも彼女は終始笑顔だ。嬉しいのだろうか。それはそうだ。女なんか滅多にやらないのだ。こんなレースゲームあたししかやらないと思ってた。あたしも素直に嬉しい。
でも果たして彼女はこのレースゲームの熟練者なのだろうか?あたしの知る限り、このお店で彼女を目撃したことはない。ならば違うお店で?それは確かにあり得るかもしれない。しかし市内にこのレースゲームが設置されているお店はこのお店を含めて3店舗。ひとつはギャラリーが沢山集まるとこでもうひとつは遠いからあまり行ったことがないけど、もしかしたらそこで?などと考えていると、彼女は決定打となるモノを財布から取り出した。
会員データカードだ。
これはこのレースゲームをやる上でマイカーをカスタマイズしたりオンラインでレースに参加するために必要なカードで、よっぽどやり込もうとしてプレイする人でない限り持っていないものだ。無論、あたしも持っている。あたしは財布からカードを取り出した。
「やっぱり、持ってたんですね?」
彼女は笑顔で言ってきた。
"やっぱり"ということは、彼女はあたしをそれなりにできる人だと判断し対戦を申し込んできたに違いない。この子、多分相当強い。あたしは悟った。
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