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5章
高垣家の面々が集まったその場に詩織はいない。<みなさま、お忙しいところ、ありがとうございます>
このメンツは詩織の相続分を用意できず、詩織との交渉もできずにこの日を迎えた。
詩織は身の安全のためにホテルに仮住まいしていた。
<弁護士先生よ、唯一の相続人となる詩織が来ていないんだがよ>
<はい、詩織様は彩さまの全遺産の相続を拒否なさいました>
<へえ~そりゃまたどうして>
<彩さまの新しい遺言によるものです>
<新しい遺言だと>
<ただいま、報告させていただきます。
①真鍋弁護士同席のもとに作成した財産目録は無効とする。
②詩織と長女、カンナの二人は相続権はないものとする。
③遺産目録
1、自宅と土地
2、箱根の別宅マンション
3、那須の別荘
4、高垣彩名義の預金
以上四点を高垣の三人の子供で均等に分配すること。
なお、前回の書面に綴った名倉彩名義の預金は、長女、カンナの相続分として処理すみである。
以上でございます。
<先生よ、姉さんには相続権はないんだろう。なのになんで母さんの預金を受け取ることはできないんじゃねえか>
<詩織さまとカンナさまの分はすでに彩さまが生前にご本人名義とされているため、相続にも生前贈与にもなりません。ぎゃくにお三方は遺産相続ですので相続税が加算されますのをお忘れなく>
<詩織たちはどれくらいもらえたんだ。均等にもらうのが当たり前だろ>
<先ほども申し上げましたが詩織さまはご自身の財産を取得したにかわりありません。かつては彩さまの財産かもしれませんが詩織さま、カンナさまはご自身名義のものですから>
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