わらべ唄

1章

祖母は戦時下で大人になった。
曾祖母は、空襲で亡くなって、曾祖父が戦死した知らせも終戦後に届いた。
祖母は戦災孤児たちが集められていた施設で働き、母の父親と出会った。祖父は日系二世のアメリカ人、日本人の母を収容所から出すためにアメリカ国籍を取りアメリカ軍の通訳として日本にやってきた。
祖母と知り合ったが、別の戦地で亡くなった。
休暇で日本に来る直前のことだった。
この時、祖母は母を身ごもっており、未婚のまま生んだ。
だが、未婚の母子が暮らしていける世の中ではなく、母を連れて再婚した母には父親違いの弟妹がいる。
その母も未婚のまま、私を生んだ。
私の父も、母が身ごもっている時に事故で亡くなった。その上に婚約者がいたため、認知を受けられなかったそうだ。
その母は米軍基地で働き、恋仲になった兵士が本国へ帰国するのをおいかけていったそうだ。