4章

4/5
前へ
/15ページ
次へ
詩織の携帯には、おじやおばから着信は、頻繁にあり、もちろん相続人拒否の内容だった。 詩織は、祖母から託された貸し金庫をあけた。 中には詩織名義の通帳と印鑑、その他の通帳が三冊でてきた。 祖母は定年まで教師を続け、その後は、昼間は着物の着付けから和裁教室、夜は学習塾と忙しい人だった。 亡くなる数年前に教室は高齢でやめたが和裁は続けていたようだ。 塾、和裁、着付け教室の収入別に通帳は分けられていた。 それぞれに多額の金額が記載されていた。 二通の手紙もでてきた。祖母は財産目録に、これらの職収入は続けて記載されてなかったはずだ。手紙にはその旨が書かれていた。 <詩織へ、この手紙を見ているということは、おばあちゃんはこの世にいないということですね。あなたを一人にしていくことが何より心配です。遺言を残してはありますがそれによってあなたがおいつめられなければよいがなとも思います。 もし高垣の面々が相続拒否を申してきたら素直にお受けしてしまいなさいというより拒否しなさいあなたには名倉名義の遺産を残していきますからね。それで一人でも生きていけるように頑張ってね。そこまで見届けられてれば心配はないんだけどね> 一通にはそのように締められていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加