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ξ゚⊿゚)ξ 「え?」
少女の身体が、いきなり宙を舞った。身体がくの字に曲がり、肩に掛けていた鞄や、靴やいくつかの小物が、夜空に放り出された。
わき道から飛び出した自動車にはね飛ばされた女子高生は、数秒間、何が起こったのか分からずに、ただ空中に浮かんでいた。
ξ゚⊿゚)ξ 「――――」
少女は考える。
なぜ、地面が頭の上にあるのだろう。
分からない。
漆黒の空。星は見えない。
他に見えるのは、あの運転手。しつこく付きまとって来た、軽そうな男。
今、彼は口を大きく開けて、驚いた顔をしている。
なぜだろう。
ところで、身体が凄く痛い気がする。
脳が、揺れている。
あの運転手。とても驚いている。
なぜだろう。
今日のお弁当。友達。学校。誰もいない家。赤い靴。折れたクレヨン。
なぜだろう。
振り向かない人。振り向く人。笑っている人。実は笑ってない人。
なぜだろう。
揺れるブランコ。壊された砂のお城。水溜り。お母さんの、包丁。
なぜだろう。
何も分からない。
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