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響き渡る爆音。破砕音。悲鳴。地鳴り。
空は割れ、地は落ちた。
吹き荒れる風は嵐となり自然界の暴君と化す。
人々が逃げ惑い、町が壊れ、国が壊れ、世界が壊れる。
それは、総ての終わり。世界の終末。
稲光が閃き、雷鳴が轟く。
逃げる場など無く、ただただ人々は死に絶えて行く。
「さあ、君の出番だ。行けるね、ライカ?」
地獄と化した世界に二つの人影が浮かんでいた。
「当たり前よ。この日の為の今までだったんだから」
一つは男。深い闇色の髪に瞳。鋭い眼に尖った耳を持つ男は、全身を漆黒のローブで覆っていた。
「ふふ、随分と自信があるじゃないか。初めて会った頃の君が懐かしいよ」
一つは女。艶やかな銀の長髪を靡かせ、ぱっちりとした銀の瞳を覗かせる。桜色の淫靡な唇に、幻想的な白い肌。
「五月蝿いわね。あの頃の自分は大嫌いなのよ、私。それ知ってるでしょ?」
「そうだったね。だけど、君はあの頃から既に美しかったよ」
ライカと呼ばれた女性は男性とは正反対の純白のローブを着ていた。
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