†序章†

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 だから、約束を約束のままにする為に。  自らに課せた重荷に潰されそうになる。自分が生きて帰れる可能性など無いに等しいのだ。  それでも、それでもこんな自分を愛し、待ってくれる人がいる。最愛の人がいる。 「……絶対、帰って来るから」  もう一度自分に言い聞かせるように呟く。  ふわりと浮き上がる。空を見上げ、割れた天に向かい飛び上がる。 「……アルザス」  決意を固めてアルザスの方に向き直った。 「絶対に、絶対に帰って来るからっ! だから、絶対待ってなさいよね! 浮気なんてしてたら許さないんだから!!」  精一杯叫んだ。  風の音や雷鳴、地鳴り等で全然聞こえてないかもしれない。  ――伝わって! 「――――」  はっとする。  アルザスの声は様々な轟音に掻き消され、聞こえない。だが、確かに伝わった。伝わって来た。  頷くと、再び天を向いて急上昇する。最後の戦いに行く為に。  ――期待しておきます。  目尻に涙を浮かべ、振り向くことなくアスガルズを目指す。  ――期待して待ってなさい。何年掛かろうが、絶対に帰るから。私は、何があっても絶対に諦めないから!!  
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