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「さっきも言ったでしょ?私には記憶がないって」
「あぁ」
「実は乙音もなのよ」
俺が乙音を見ると、乙音は首を縦にこくこくと振った。
どうやら本当のことらしい。
「私達〈必要悪の教団〉の創設者とその中心12幹部は、記憶がないの」
「記憶がない……?」
「そうなの。普通の死者は生前の記憶を始め、死んだ瞬間の記憶もあるんだけどね」
「死んだ瞬間も?」
「そうよ。他殺の人には、かなり恐怖体験としてインプットされるらしいわよ」
「だろうな」
俺は、自分の胸に包丁が刺さっている様を想像した。
……ホラーだろ。
「何故私達には記憶がないのか。そしたら、一つの仮定に辿り着いたのよ。私達は死んでないんじゃないか、ってね」
「ちょっと待て!此処が死後の世界だって馬鹿なことを言ったのはお前だぞ!?」
「あんたホントに頭悪いのね。それに私はお前じゃなくて深琴」
すると乙音がにこにこして言ってきた。
「お兄ちゃんお馬鹿さんなのー?」
「違うから。深琴の言葉は鵜呑みにするなよ」
「何よそれ。失礼ね!」
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