一章・死後の世界

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深琴は不機嫌ながらも話を続ける。 乙音は相変わらずにこにこだ。 「だって死んだ記憶がないのよ?死んでないのかも知れないじゃないの」 「そんな単純なことなのか?」 「そういうものよ」 「……」 俺は思わず言葉に詰まったが、深琴は気にしちゃいないご様子だ。 「私達が死んでいないという仮説がもし正しければ、『私達は何故この死後の世界にいるのか』という壁にぶち当たったの」 「それでね、実はもーすぴーどで壁にぶち当たっちゃったから、頭蓋骨がぱっくり割れて、脳ミソがだらだら流れてきて死んじゃったんだよ」 「違うだろ」 違うも何も、ジャンルもホラーに変わっている。 乙音はやはりというべきか、にこにこ笑顔だ。 「やっぱり乙音は可愛いこと言うわね。誇るべき〈必要悪の教団〉団員ね!」 「……俺はもう何も言わないから、話しを続けてくれ」 .
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