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深琴は不機嫌ながらも話を続ける。
乙音は相変わらずにこにこだ。
「だって死んだ記憶がないのよ?死んでないのかも知れないじゃないの」
「そんな単純なことなのか?」
「そういうものよ」
「……」
俺は思わず言葉に詰まったが、深琴は気にしちゃいないご様子だ。
「私達が死んでいないという仮説がもし正しければ、『私達は何故この死後の世界にいるのか』という壁にぶち当たったの」
「それでね、実はもーすぴーどで壁にぶち当たっちゃったから、頭蓋骨がぱっくり割れて、脳ミソがだらだら流れてきて死んじゃったんだよ」
「違うだろ」
違うも何も、ジャンルもホラーに変わっている。
乙音はやはりというべきか、にこにこ笑顔だ。
「やっぱり乙音は可愛いこと言うわね。誇るべき〈必要悪の教団〉団員ね!」
「……俺はもう何も言わないから、話しを続けてくれ」
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