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天空に最も近く、地獄に最も近い存在の塔があった。
見上げても、雲に隠れて先端が見えない程の高さを以(モッ)て、確固とした姿で屹立(キツリツ)する塔。
象徴学的に塔は『幽閉』を意味するが、事実、この塔は幽閉を目的とする牢獄である。
光さえ差さず、希望を持つことさえ許されない囚人たちとは別に、塔の先端に幽閉されている者がいた。
「久しぶりだな。全くもって無様な姿だぜ。何だ、それともここでの生活はご満悦か?」
取り立てて食事を必要としていない体だが、習慣として食事を摂取する。
取り立てて清潔を保つ必要性はない体だが、精神衛生として水を浴びる。
それらを叶えられない男は、かつての面影を見せず、やつれていた。
それでも男は、訪れてきた男の皮肉に対し、口角を上げて嗤(ワラ)うだけだった。
「チッ」
嗤われた訪問者の男は、幽閉されていた男に舌打ちしながら、力の限りに蹴る。
肋骨が折れたような音がしたが、蹴られた男は平然としていた。
「これだから神は」
蹴られた辺りに光が収束し、男の体へと浸透した。
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