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そう呟くと、辺りは飴色の光に包まれた。
そして女は『ラグラホルン』に近付き、雪が幾重にも降り積もった地面に膝をついた。
「あーもう、濡れちゃうじゃない」
《そんなの我慢しろ》
胸ポケットに差し込まれたペンから、男の声が答える。
天界に住まう者だけに使用を許された不思議な術・天術(テンジュツ)による、意思伝達だった。
「そう言えば、どうして今日は目玉じゃないの?」
「メタトロンが出払っているからな。〈監視(オブサベーション)〉はアイツしか使えない」
「そう言えばそうだったわね」
《そんなことより、さっさとやれ》
女は天術で、飴色の炎を『ラグラホルン』の空洞に顕す。
「耳を塞ぐか、防護の術を張るかして」
そして一言呟いた刹那。
遥か十メートル下が見える澄んだ水のような、美しい音が響く。
そして女は燃える飴色の炎に向かい、息を吸い込む。
「──天術〈アテルド〉」
大砲型の宝具『ラグラホルン』は中に炎を灯し、その炎に向かって天術を使うことで、広範域に渡ってその効果を使うことが出来る宝具である。
そこに向かい、女は意識をなくす高度な天術・アテルドを使ったのだった。
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