私的未知との遭遇

2/6
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
 そいや。  ガシャン。  振り下ろしたハンマーの直撃を受けて、粉々に砕け散る哀れな子豚。そんな目で私を見るな。これは必要な犠牲だったんだ、許して欲しい。  体内から摘出されるのは、何枚もの長方形の紙札。通称日本銀行券。それから小銭数十枚。  えーと、ひーふーみー。うん、いっぱい。  私は娯楽にお金をかけるという思考が全くない子供だった。  理由は幾つか思い当たる。母の趣味がお菓子作りだったので、クッキーやら飴やらがいつも家にあり、その為お菓子は買うものという認識がなかった。  テレビは滅多に見ないのでアニメのキャラクターグッズなどを欲しいとも思わなかったし、本や漫画は借りることで満足していた。  女の子ならありがちなアクセサリー(小学生なので所詮玩具だが)とかファッションへの興味も薄く、洋服は何となく親が買ってくれる物を適当に着ていた。  それでも毎月、多くは無いものの小遣いを貰えたし、正月に親戚や祖父母から貰うお年玉は、そのまま全額私の物となった。  今更だけど、お父さん、お母さん、私を甘やかし過ぎです。  そんなこと言える立場じゃないんだけどね。  ・・・ごめんなさい。  
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!