甘き誘惑に抗うこと勿れ

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 「黒魔術と呪いが大好きな青年」そんな表現をしたら、恐らく、いやほぼ確実にオミトの人間性を勘違いされてしまう気がしてならない。  しかし実際に「その通り」でもある彼がどう思われようが私の知ったことではないし、彼の表面だけを見るならそんな怪しげな趣味を持つだなんてまるで思われないはずなので構わないことかもしれない。  しかし、もしこの私の書いている「これ」を見る人が居たとして、その人が彼に対して「妙な人間」という印象を持ってしまったとしたら、少しばかり気分が悪い。  彼に関する別の話も記しておこう。あくまでこれはフォローのためではなく、個人的な満足のために書くということを理解してもらいたい。  館内は基本的に飲食禁煙は禁止なのだが、唯一ロビーでのみ許可されている。そのため私やオミトは、昼食などはそこで済ます事にしていた。  柔らかなソファが並び、テレビや自動販売機も設置されているので、憩いの場にもなっている。
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