触れられず、見ることも出来ない傷

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 嫌われたくない。  絶対に、それだけは、嫌だ。  その時の私は、それしか考えられなかった。  だから、互いに傷に触れさせず、触れることもしない。  そういう関係のままでいい。そう思った。  ――その夜、初めて彼から私のケータイに電話があった。  たったそれだけのことで、日中のそんな嫌な気持ちや葛藤、悩みごとなど、私の中から綺麗サッパリ消えてしまったのだけれど。
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