私的未知との遭遇

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 そんな訳で、私の手元にはお金がどんどん溜まっていった。  ほぼ唯一趣味に使ったといえば、たった今無残な姿となった子豚の貯金箱ぐらいのものだろう。その腹の中に、片っ端から金を入れていった。  貯金が趣味。ケチくさい感じがしてやだね。  ただ、私はとても愚かだった。  その子豚さんは、いざお金が必要となった時に、壊さなきゃ取り出せない貯金箱だったのだ。その為に、手元には一円もなかった訳である。  よく考えてみれば、このお金はもう暫くしたら私には不要なものとなるのだ。  使わなければ勿体無い。とは言え使い道なんて殆どないけれど、兎に角使えるだけ使ったところでバチは当たるまい。  ・・・多分。  千円札を一枚と一万円札を一枚、散らばった小銭を適当に掴んで財布に入れ、それをジーンズのポケットに入れた私は、颯爽と部屋を出た。
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