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もう後戻りはできない。
いや、前の状態に戻ろうとしているのかもしれない。
薫「嫌だよ…。絶対嫌だよ!何で別れなきゃならないの!?」
秀「だから、薫が俺と一緒にいると危ないからですよ」
薫「そんなのわかんないじゃない!」
秀「確かにわかりません。ですけど、ちょっとでも可能性があるなら、危惧しておいた方がいいんですよ」
自分でも驚くほど落ち着いてる。さっきまで薫と言い争っていたのが嘘みたいだ。
薫「………秀くん、本気なの?」
俺が全く意見を変えないからだろうか、薫は俯いてしまい、そのまま独り言のように呟いた。
本気なの、か…。
秀「…本気です」
俺だって、進んで薫と別れたいわけじゃない。そりゃ一緒いたいって想ってる部分もある。
だけど、それじゃ駄目なんだ。
これは薫を守るための最善の方法。
だから、一緒にいたいとか、薫が好きだからとか、そんな考えじゃ駄目なんだ。
だから、本気かどうか聞かれたら、俺は肯定する。
薫「…そっか。………もうわかったよ」
薫はまた呟いた。口調はさっきより明るいが、明るいだけ。そこから感情を読み取ることができない。
薫「…秀くん、別れる前に、私のお願い聞いてくれる?」
お願い、か。
何だろうな、応えられる範囲なら叶えてあげたい。
秀「いいですよ。何ですか?」
薫「えっとね、想い出が欲しいの」
想い出ねぇ。
この場合の想い出って言ったら、キスとかか?
それ位なら全然大丈夫だ。
秀「わかりました」
薫「ありがと、秀くん」
そう言うと、薫は俺に近づき、俺の首に手を回した。
薫「秀くん…」
秀「………」
俺は、喋ることもせず、最後になるであろう薫とのキスをする。
数秒後、俺達は離れた。
これで薫と別れることになる。
薫「秀くん………」
薫は俺の名前を呼ぶと、意を決したような表情をする。
そして、
何を思ったか、制服を脱ぎ始めた。
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