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秀「なんだか、この2ヶ月損した気分になりますね」
薫「いいんだよ。今秀くんが隣にいてくれたら」
そう言って薫は俺の腕に抱き着く。
あぁ、やっぱりいいなこの感触。いろんな意味で。ごめん、主に腕に当たるって意味で。
薫の頭を優しく撫でてやると、『えへへ…』と久しぶりだからだろうか、照れ笑いを浮かべる。
うん、生きててよかった。薫の彼氏でよかった。薫かわいいよ薫。
薫「それでね、秀くん。聞きたいことがあるんだよ」
久しぶりに薫と触れ合って気が抜けていたんだろう。薫に質問をされて俺は愕然とすることになる。
秀「何ですか?」
薫「…あの、私の知らないことを教えて欲しいの!」
え………
つまり、それは………襲ってくれ、ってことか?
いやいや、馬鹿か俺は!絶対違うだろ!
つまり、薫が言いたいのは…。
秀「…昔のことを教えてくれってことですか?」
薫「うん。みんな教えてくれなくて、真柳ちゃんは秀くんに聞けって言ったから」
やっぱりか…。とうとうこの日が来たか。
今ここで、はぐらかすことはできないだろう。目が本気だ。
話を聞いて薫がどう思うかすごく不安だけど。
秀「…わかりました。全部話します」
薫「うん。ありがとう、秀くん」
お礼なんて言わないでほしい。
薫の記憶を奪った張本人は、俺かもしれないから…。
俺は、薫と出会ってからあの時までのことを、教えた。
こうすることで薫に嫌われても構わない。むしろ、昔の俺からしたら、この関係の方がおかしいから。
そりゃ、薫と一緒にいる時間は楽しいし、嬉しいし、幸せだ。
だけど、それを求める権利は俺には無い。
俺に薫と一緒にいる資格なんて、本当は無いんだ…。
薫がどんなに俺を想ってくれても、どんなに一緒いたいって言ってくれても、どんなに好きだよって言ってくれても…。
俺はそんな風に想われる人間じゃないから、想われていい人間じゃないから…。
だから、薫に嫌われても、構わない…。
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