笑ってください

2/19
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
君と出会ったのはいつだっただろう? 確か…、 季節は春で、 風が強くて、 桜の花弁が舞っていて……。 桜の木が立ち並ぶ、 土手の傾斜の途中に、 君は居たんだ。 寝転がって、 桜の花弁を鼻の頭に乗せて、 暖かい日溜まりの中に、 そう…、 猫のように寝ていたんだ。 今でも忘れない。 多分一生…、忘れることは出来ないと思う。 なんせ、初めてだったんだ。 女の子を見て、ドキドキしたのは。 胸がきゅっとして、苦しくなって、君から、目が離れなかった。 君のお陰だよ。 君と出会うまで、 ただ淡々と、同じ日々を繰り返す俺には、世界はくすんで見えていた。 でも、君と出会った瞬間から、否…、君が俺の視界に入り込んだ瞬間から、世界が明るくなったんだ。 世界が、美しく、輝いて見えたんだ。 ねえ、 俺の好きなもの、知ってる? それはね─────────… .
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!