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そして朝…まだ太陽も上がる前にロランは“白鯨亭”を後にした。
タルを起こすとまた大変な騒ぎになると思い、宿の代金と置き手紙をして宿のドアを出たのだ。
ゴルゴー海峡の橋の詰め所に行き、守衛を起こす。
「すまんが橋を渡らせて貰うぞ。」
「へい、ロラン様橋を渡られることはうかがっておりやす。」
守衛の返事に飛び上がるほど驚いたロランは、物凄い剣幕でまくしたてた。
「貴様!誰に聞いたのだ?早く答えねば命は無いぞ!」
「ひぇっ!お待ち下さいやし!!あっしはあのでぶちゃんに…。」
「なに?誰だと?」
「タルでやす、白鯨亭のタル=クアルでやすよ~。」
一気に気が抜けたロランは、剣を鞘に納めながらたずねた。
「守衛よ、本当だろうな?」
「そりゃあもう!本当でやすよ!その証拠に…これを預かっとります。」
守衛はひとつの包みを取りだしロランに差し出した。
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