第一章 賢人の過ち

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そして朝…まだ太陽も上がる前にロランは“白鯨亭”を後にした。 タルを起こすとまた大変な騒ぎになると思い、宿の代金と置き手紙をして宿のドアを出たのだ。 ゴルゴー海峡の橋の詰め所に行き、守衛を起こす。 「すまんが橋を渡らせて貰うぞ。」 「へい、ロラン様橋を渡られることはうかがっておりやす。」 守衛の返事に飛び上がるほど驚いたロランは、物凄い剣幕でまくしたてた。 「貴様!誰に聞いたのだ?早く答えねば命は無いぞ!」 「ひぇっ!お待ち下さいやし!!あっしはあのでぶちゃんに…。」 「なに?誰だと?」 「タルでやす、白鯨亭のタル=クアルでやすよ~。」 一気に気が抜けたロランは、剣を鞘に納めながらたずねた。 「守衛よ、本当だろうな?」 「そりゃあもう!本当でやすよ!その証拠に…これを預かっとります。」 守衛はひとつの包みを取りだしロランに差し出した。
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