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虹の塔では、白いローブを着た老人が会議室の議長席に座っている、その横で灰色のローブを着た老人が何かを気にするように時計を見ている。
「サロン…。落ち着こうではないか…。」
「わしは落ち着居ておるよ、見た目よりずっとな。」
その言葉が終らないうちにドアを開けて一人の男が入って来た。
彼は二人よりも少し若く見え、長い髭と髪は黒くつやがあった。
彼も賢人の一人でローブを着て木の杖を持っていた、彼のローブは燃えるような赤だった。
「マウラ!賢人長マウラ!!本当ですか?!賢人の一人が同じ賢人を手にかけたと言うのは!」
部屋に入るなりサロンに詰め寄る。
マウラは苦笑いしながらなだめた。
「たった今わしらは落ち着いて事に当たらなければならん、と話しておった所なんじゃ。まぁ座りなさい、赤色の賢人ファウメル。」
そしてマウラが口を開く。
「では揃ったようなので会議を始めるとしよう。」
「揃った?今揃ったと言われたのか?」
ファウメルは平成を装いながらたずねたが、彼の顔は青ざめていた。
「うむ。お主には詳しく伝えておらなんだが…今や七色賢人会は……我ら三人だけになったのじゃ。」
マウラが重い口調で説明を始めた。
「賢人の一人、黒のケイルが…茶のラウル、青のシャウタ、黄のミルザの三人の命を奪い逃走したのじゃ。」
「なんと…。本当でしたか…。しかし…三人も…だがマウラ、なぜケイルの仕業だと?私には信じられません。」
今だ信じられない…いや、信じたくないといった面持ちのファウメル。
サロンは悲しそうに言った。
「わしにも信じられんよ…。しかし、賢人の命を奪うことなど…他の誰にも出来まい…。」
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