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どうしようも無い事実をしったファウメルだが、まだ信じられないと言った表情で口を開いた。
「サロン、何故ケイルが…何故そんな事を?」
「…『黒雲の指輪』…じゃよ。」
サロンが重い口調で言い切った。
「それは一体…私が持っている『火の指輪』と関係ある指輪ですか?」
サロンの目がキラリと光った。
「そうじゃ!『黒雲の指輪』とは『九つのちからの指輪』を統べるもの!…実を言うとわしは随分前からその存在を知っておった、そして…ケイルが関わっておるかもしれん事も…。」
サロンは更に続けた。
「しかし…わしには確証が無かった、そのためみすみす敵の手に渡してしまった。そして…早くも『九つの指輪』が『ひとつの指輪』に引かれ…ちからを失い始めたのじゃ…。」
サロンの表情がみるみる苦痛を噛み締めるかの様に歪んで行く。
ファウメルは、自分の右の人指し指の『火の指輪』を左手で覆い隠す様にしながらうつ向いていた。
「サロンよ、そう自分を責めるな。あんたが出来んかった事なら…誰にも出来はすまいよ。」
そう言うとマウラは今後の事について話始めた。
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