第一章 賢人の過ち

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ロランが短い睡眠をとって居るころ…… 「マウラ!白のマウラよ!」 大きな声で呼ばわりながら灰色の賢人が虹の塔の廊下を走っていた。 何事かと部屋を飛び出したマウラは、息を切らし倒れそうな老人の肩をしっかりと受けとめたずねた。 「どうしたね、サロン?みなをたたき起こすのかね?」 「賢人長よ!!そんなことを言っておる場合では無いぞ!!!」 サロンの迫力に事態の重大さを知ったマウラは、打って変わって真剣な目でもう一度繰り返した。 「何があったのじゃな?灰色のサロン。」 サロンは震える唇で答えた。 「…我等…七色賢人会の…一賢人が……闇に心を奪われ…同胞の命を……奪い…逃走した。」
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