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「もう、なんで私に黙って引っ越しちゃうの!?
お父さんもお母さんもクロちゃんの転居先教えてくれないし!
会えなかった三年間、私がどれだけ心配したかわかる!?
どれだけ寂しかったかわかる!?」
元姉上様が、俺を叱責しつつ襟首掴んで前後にがっくんがっくん揺らす。
やば、これは、酔う……
「OK.雛汰、気持ちはわかるが、少し落ち着け」
両手を上げて降参のポーズ。
ったく、揺らされたお陰で、なんかイントネーションが波打っちまったぜぃ。
「クロちゃん、私を呼ぶときは雛汰じゃなくて、ヒ・ナ!」
俺の襟首を解放しつつ、むくれて言い放ちやがった女が、俺の年子の元姉、高杉雛汰(タカスギ・ヒナタ)。
ちなみに興味はないだろうが、俺は猫谷黒(ネコタニ・クロ)本名だ。
「だったらいい加減、ちゃん付けは勘弁してくれよヒナ」
おぉ、なんか地面が揺れてる気がする。
世界は震度1か2か。
「私の方が3ヶ月お姉ちゃんだもん、弟にはちゃん付けでいいの!」
えっへんと胸を張る。
……三年間で、随分と成長したものよ。
主に胸囲的な意味で。
「あ? 俺高杉家の養子じゃなくなったんだけど?」
「え――?」
ヒナがしばし固まり、ややあって――
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