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「えええ『キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン』
ヒナの叫びをチャイムがかき消す。
って、おいおい!
このチャイムは、まさか!
携帯で時間を確認。
……間違いない。
これは、入学式早々遅刻だ。
「あ、あれ? クロちゃん、このチャイムは、まさか……」
ヒナが今更顔色を失う。
気づくの遅ぇよ!
「話は後だな。
とりあえず教室に急ぐぞ!」
ヒナを促して走り出す。
「え、でも教室は!?」
「昇降口前に張り出してあるはずだ!
ソッコで確認して、各々の教室へ全力ダッシュ!
OK.?」
ヒナが頷くのも見ずにフルアクセル。
お次がフルブレーキ。
「俺のクラス! 俺のクラス!
……あった! 2組か。了解!」
「私も2組! 一緒だよ、クロちゃん!」
喜んでる場合か!?
喜色満面のヒナの手を引っ付かんで全力疾走!
教室は四階の真ん中。
最短距離は、昇降口奥の中央階段を正面突破。
「届け、雲耀の速さまで!」
「クロちゃん、速いよ!」
「ゆっくりしてる、場合じゃねぇ!」
腹のそこから叫び、階段を駆け上がる。
それこそ、某階段部が裸足で逃げ足すくらいの速度で。
そして――
「ぜー、はー、お、遅れてすみましぇんでしたぁ」
「………………」
なんとか教室に到着する。
しんどい、声だしたくない。
「初日から遅刻とは、これはまた随分と珍プレーだな?
あれか、横の彼女とヤりすぎて寝坊でもしたか?
彼女は随分とぐったりだが。
え? 猫谷黒と、高杉雛汰」
恐らく担任となる女教師が、ニヤリと笑いながらセクハラ発言。
俺の高校生活は、こうして穏やかならぬ幕開けで始まった。
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