第三章 猫に鰹節、俺はマヨネーズ

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波瀾万丈な入学式やその他諸々を終え、ヒナを伴って、というか手を掴まれて強制連行されてる今日この頃。 時間が進みすぎだ? その他脇役の名前すら出てない? 俺が知るか! ……ったく、わかったよ。 あの女教師は三社祭(ミヤシロ・マツリ) さんじゃまつりと読んだら、殺されるそうだ。 あの先生に。 あとは知らん。 てか寝てた。 入学式のもよう? 寝てましたが、何か? 「クロちゃん、なにぼっとしてるの? お昼食べに行こう!」 そうそう、現在時刻は昼過ぎ。 あちこちで親子連れやらなにやらが写真を撮りあっている。 「いや、あの両親には会いたくないんだけど?」 手を引くヒナに、正直にぶっちゃける。 娘の入学式だ。 共働きで忙しいたって、流石にどちらかは来てるだろ。 「来てないよ」 「あ?」 おいおい、ちょっと待て…… 「お父さんもお母さんも、来てないよ。 『あんな田舎の、三流の公立高校の入学式なんて、恥ずかしくて出れない』って」 なん……だと? 「だからね、クロちゃんがいなかったら、私、一人ぼっちの入学式だったんだ。 クロちゃんがいてくれて、本当によかったよ」 そう言って、ヒナは笑う。 力なく、眉尻を下げた笑み。 「……行くぞ」 ヒナの手を引いて歩き出す。
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