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『それはいい。すぐに準備しよう』
それが、小学校の卒業を機に、家を出ると言った俺への言葉。
顔は笑顔。
改めて気付かされる。
俺は、要らない子なのだと。
学校からなるべく近く、家賃の安い場所。
できれば、付近に商店があると良い。
両親は、なにくれと無く動いてくれた。
その結果、あの婆さんに会えたのだから、そこは素直に感謝しよう。
『高校までは、面倒を見よう』
『独り暮らしは大変だろうから、無理して帰ってこなくていいからね?』
そういう両親に、誰が帰るか糞呆けがと笑顔で言い捨てて、俺はこの町に来た。
『しょぼくれた顔のガキだね』
それが、婆さんの唯一の店子に対する第一声。
『捨てられた猫みたいな面してんじゃないよ。
独り暮らしだろ?
シャキッとしな!』
そう言って、背中をバンと叩かれた。
『うっせー、糞ばばあ!』
それが、俺と婆さんの最初の喧嘩。
いらい、俺と婆さんは喧嘩しつつもうまくやって来た。
といっても、俺が一方的に飯をたかるだけなんだけどな。
婆さん曰く、
『ここらの野良猫はみんなあたしの飯で育ったんだ。
今さら大ぐらいが一匹増えたところでかまいやしないよ』
全く、ありがたい限りで。
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