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「御馳走さんで御座いました」
合掌し、頭を下げる。
「まぁ、食らいも食らったり、朝からどんぶり五杯も食ってんじゃないよ」
言いながらも、婆さんは笑顔。
『自分が作ったものを美味しそうに食べてくれて、最後に感謝してもらったら誰だって嬉しいんだよ』
ふと、唯一優しかった年子の姉の言葉を思い出す。
姉上は、どうしてるかな。
ちょっぴりセンチメンタル。
「あぁ、そうだ。
あんたの糞両親から手紙だよ」
婆さんから投げ渡されたのは、お役所の封筒。
口許がにやけるのを止められない。
中身は……ビンゴ!
俺と両親との、養子縁組の解消を証明する書類。
俺の話を聞いた婆さんが、後見人になって尽力してくれたが故の快挙。
もうあれだね、俺婆さんに足向けて眠れないわ。
「あんたの両親も、なんで必要のない養子縁組なんてしたのかねぇ」
呆れた溜め息をつく婆さん。
「まぁまぁ……」
「あんたにも言ってんだよ!
まったく、仕送りが来なくなって家賃が滞ったら追い出すからね!」
額に角を生やす婆さんに辟易しつつ時計を見る。
AM07:45
そろそろ行かないと不味いかな。
「婆さん、そろそろ行くわ!
あと家賃なら大丈夫、あの二人、愛娘より世間体が可愛いタイプだから、未成年の養子を切った挙げ句日干しになんかできねぇよ」
婆さんの家を出て、走り出す。
新しい三年間に向かって。
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