WHO IS HE ?

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WHO IS HE ?

下駄箱の手紙なんて愛の告白か集団リンチが相場。この手紙がどっちだって良いのと私は思う。だってどっちも面倒なの。人と関わること全てが面倒。だから私は昼のお弁当だって移動教室だってひとり。トイレだってもともと集団で行くものではないじゃない。なんで年頃の女の子って集団でトイレに行きたがるの? そんな考えを放課後の屋上で考える。びゅうびゅうと風が強い。セミロングの髪が風に遊ばれるように乱れる。早く手紙の主が来ないかと切に願った。はやく家に帰りたい。そう思って私は給水タンクに背中を預けるように寄りかかった。 ガチャリ、と屋上の頑丈な扉が開く音がする。目をそちらに向ければ一般的な男子生徒が扉を開けて立っていた。息が乱れて肩が動いてるところをみると走ってここまで来たようだった。 「良かった!来てくれたんだ!」 そう行って男子はこちらに歩いてくる。彼は私の前まで来ると右手を差し出して俯いてこう言った。 ああ面倒くさい。早く帰りたい。 「君がすきです。付き合って下さい!」 テンプレートな言葉を吐き出した彼の耳は真っ赤に染まっていた。(俯いて顔は見れない)何故私なんかを好きになったんだこの人は。彼は私のことを知っていて且つ私のことを好きになったんだが残念ながら私は彼のことを知らない。知っていたって知らなくたって答えは変わらない。私は少し申し訳なさそうな顔を作って模範通りの言葉を紡いだ。 「ごめんなさい、あなたのことあまり知らないし…付き合えません。本当にごめんなさい。」 そうして彼はやっと顔をあげた。
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