序 章

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  こんな騒がしい室内で、一メンバーである徹が撤回などできるわけもなくて。 騒ぎが広がり続けてしまったようだ。 「お前らーちょっと静かにしろっ!」 騒がしい室内に一声、抑揚の強めた声が通る。 「俺はチームをやめねぇ。総長も続ける。判ったら黙りやがれっ」 言いたいことを簡潔に述べて、最後に本音を混ぜる。煩くて仕方が無い。 「みんなぁ、何かごめんねぇ?」 「それと、俺はしばらく来られないから総長代理を楓に任せた」 下に来た本来の目的を伝えれば、メンバー達の緊張した面持ちがガラッと変わる。 「ほ、本当に、辞めないんすか?」 「え、じゃぁ、どういうことだ?」 「なんだー、騒いで損したぁ」 呆気にとられた奴ら、肩から力を抜く奴ら、納得して店を出て行く奴ら。 順応力のある奴らだよ、本当。 「・・・なにかあったのか?」 後ろから騒ぎを聞きつけたのか、類がやってきた。 「んぁ、いや、解決したから大丈夫」 「そうか、なら良い」 辺りの酷い惨状に首を傾げながらも、無関心な様子でそう言った。 「彼らにも伝えたことですし、これからどうしますか?」 「悪いけど、俺まだ用事があるんだよな」 実は寮へ移るにも関わらず、荷造りが全く終わってないんだよな。  
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