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あと数日で寮の入寮手続きが終わってしまうのに未だ手付かずな有様。
そろそろ本気で纏めないと、と考えていたのだ。
「そうですか、しばらく会えませんがお元気で」
「あぁ、ありがとな楓。後は任せた」
長い付き合いで、頼りにしているからこそ、これ以上何も言わなくても済んだ。
「利光ーもう帰っちゃうのぉ?」
眉尻を下げ気味に見つめてくる朧はわざとか。
不本意にもドキドキしてしまう可愛らしさをもつ朧は大きな瞳に涙を溜めて引き止める。
「本当すまないな、出来るだけ連絡は入れるようにするから許してくれ」
「絶対、だからね!」
「あぁ、分かったから」
ちゃんと僕に連絡を頂戴ねと、何故か念入りに言い聞かせてくる朧。
そんな朧を余所にまた一人、似たような言葉を掛けてきた。
「利光、何かあったらいつでも連絡してくれ」
「ああ、わかってるよ類」
「たぶん、利光の力になれると、思う」
・・・何なんだ、その微妙な疑問係は。
「あ、あぁ、頼りにしてるよ」
「・・・またな、近いうちに」
意味深な言葉を残し、背を向けて2階へ戻っていく類。
何、最後のは?
たぶん類なりの心遣いなんだろう。気を遣って貰ってる俺は幸せ者だなと、正直に受け取っておいた。
壱琉が言っていたように、ここのチームの奴らは良い奴ばかり集まっている。
全く気兼ねもなく長期不在が出来るのは、信頼の証かそれとも・・・遠くに居ても繋がりは絶えないと思ってるからか。
俺は恥ずかしげも無く、臭い台詞を考えながらBarを出て行った。
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