第一章

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  「あ、はい。喜んで貰えて嬉しいです」 微笑まれながら褒められたので、素直にお礼を言っておく。 お祖父様に褒められて嬉しくないはずがないから。 主席生以外は、カードの色は学年色らしく、一年は赤、二年は青、三年は緑らしい。 あと二色が、何故だか生徒会の役員と風紀委員に宛がわれていた。 パンフレットによれば、生徒会が金のラインが入ったプラチナ色で、風紀委員は銀のラインが入った同色。 何故この二役だけ分けられているのだろう? 「あの、なんで生徒会と風紀委員だけ色が分けられてるんですか?」 仕事中の祖父に悪いとは思いながらも尋ねる。 俺の性格上、今を逃したら聞きそびれそうだから。 「その二職はな、生徒たちや職員に信頼されていなくてはならない役職だから特別視しているんだ」 うわっ、どれだけの人間性を求められてるんだ? 実際に学校にはそんな人物が居るのだし、どんな完璧集団なんだろう。 「・・・相当なカリスマ性や人徳がある方たちなんでしょうね」 そんな奴が本当に居るのなら拝んで見たいよなと、内心では哂っていたけど。 「詳しいことは明日の入学式が終われば次第に耳に届くはずだ。その頃には親しい友人もできているだろう」 ん?それはどういう意味、何でしょうか? 何だか祖父の物言いが只ならぬ意味合いを含んでいるように聞こえた。 「おぉ、そうだった利光。入学式といえば新入生代表の挨拶、楽しみにしとるからな」 「そういえば僕が主席でしたね。恥ずかしくない程度に挨拶させていただきます」 「期待しとるよ」 パンフレットを読み耽っていれば、次第に視界へ建物が入ってくる。 周りから森が消え、視界一杯には高層ビルが建ち並んでいた。 あまりの壮絶さに呆気にとられた。 「あれが高等部の校舎ですか?」 「そうだよ、想像以上に大きいだろう」 「…すごく驚いている自分に吃驚です」 「世界が注目してることもあってね、国の援助もあって最先端を追求できたんだ」 国の力って絶大、だな。  
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