序 章

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  心地よい体温と、 水中に漂うような感覚。 あれ、俺って確か・・・ 寝室のベッドの上で寝てたハズ、だよな? 現実味のない浮遊感、まるでプールの中心で浮いているようだった。 今は春、プールに浮いているはずも無い。 そっか、夢か。でも、 懐かしい、ナツカシイ。 ・・・なぜだろう? ここは、羊水のなかなんだって気付いた。 夢、か。 またキミが出てくる夢だったら、良いな。 耳に響くキミの声。 いつも懐かしく聞き入ってしまう。 いつも俺の隣にはキミがいて、安心できて、安らぎをくれた。離れる事なんて一度も・・・ 『無かったんだ、こぉ・・・』 あぁ、この声だ。 俺の名前が呼ばれた? なに?・・・ あれ、声が、出ない? 『クスクス、おはよう こぉ』 もしかして、 俺はキミを知っているの? 『ほらっ、起きて?』 まっ、待って! キミは、行かないで!! 木霊するキミの声が、どんどん遠く感じていく。    
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