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ケータイの電源は入ったまま。GPS機能で俺の居所を調べることなど朧にとっては朝飯前だ。
「はぁ~、朧!居場所がわかっていたのなら伝えるべきですよ」
「だって、楓も大体の予想は付いていたんでしょ?」
なら良いじゃんと、そ知らぬ顔でパソコンへ向き直った。それでも楓の話は終わってはいなかったらしく、溜め息を吐きながら体を朧に向ける。
「俺だって何となくの域だったんです。確信できる情報があるのなら教えるべき」
「ごーめーんー!利光も何か用事があるのかと思って秘密にしてたの」
本当に寝坊だとは思わなかったと、涙を浮かべながら訴える朧。
ごめんな、全ては俺の責任だよな。
「それよりも、今日の召集について聞きたいんだが?」
「あぁ、待たせて悪いな類」
「俺は気にしてない」
壁に寄りかかって状況を傍観していた常陸類(ひたち るい)が痺れを切らせたのか、二人を無視して話を進める。
「そうですよー、一体3ヶ月間なにをしてたんですか?」
俺にしがみ付いたままだった頼が、顔だけを俺に向けて尋ねてくる。
「高校受験だよ。受かるまで接触禁止されてたんだ」
みんなワリィなと、頭を下げながら謝る。俺と同い年の奴なんて何十人もチームにはいる。
だが、俺の家以上に特殊な奴はいないんだろうな。
「あー、総長の家の人ってWPのお偉いさんでしたっけ?」
「何かいろいろ大変そうだよな」
「でも、チームに加わって、しかも族の総長やってるのに認めてくれてるだけマシっすよね」
などと好きな放題言ってくれてる。
「俺の家が変なのは分かってる。祖父も俺を自由にさせてくれてるから別に不自由じゃないがな」
「もー利光、なんで僕たちを招集したのか結論を言ってよ!」
なんて呑気に話から脱線すれば、すかさず駄目だし。すぐさま元の話に戻される。
しかも、じれったいとばかりに地団駄を軽く踏むので、朧に何歳児だと聞きたくなるよ。
かなり待たされた彼らの身に、世間話よろしくは無しの方向が良いらしい。
「本当に最後まで悪いな、実は俺の今後のことなんだ」
だから友人であり、Empressの幹部でもある彼らだけを始めに招集した。
「今後って、ただ高校に上がっただけなのでしょう?」
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