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「・・・みんなが許してくれるのなら、俺はまだ、此処にいたい」
「そうか、なら決まりだな」
「ありがとうな、類」
それほどでもと、背を向けながら先ほどまで寄りかかっていた壁まで戻っていく。
そんなにそこのポジションが好きなのか。
「なんだかよく分からないけど、総長は総長で居てくれるってことですか?」
「こんな身勝手でお騒がせな総長でいいなら、だけど」
眉を顰め、首を傾げながらウズウズと聞いてきた頼に軽く呆れながらも頭を撫でてやる。
「利光ぐらいトラブルを引きつけてくれるお騒がせな人じゃないと、このチームのそーちょーにはなれないよ☆」
「それはどういう意味だ、この野郎?」
何処か納得できる朧の厭味だったが、聞き捨てならなかった。
退屈なんて性に合わない奴らが族に入って来てるのだから、トラブルメーカーなのは絶対に俺だけじゃないだろう。
「利光のことは話が付きましたが、これからどうしましょうか?」
困ったように楓は新たな問題についてぼやいた。
なにを?と尋ねる人は誰一人として居ない。
というよりも、真っ先に聞きそうな連中は、俺が総長で居続けることに喜び、舞い上がっていた。
そんな横で騒いでいる奴らを余所に、楓と朧と共に話を進めていく。
「利光はぁ、いつだったらコッチに来れるの?」
「全寮制ですし、来れるのは長期の休暇と連休くらいですか?」
「あぁ、たぶんそうなると思う」
いつ来れるか分からないから来れそうな時はちゃんと連絡すると、俺は楓と朧に約束した。
「やはり、総長の代理は立てておいたほうが良いですね。利光は誰か推薦したい人は居ますか?」
俺が推薦したい人・・・類、かな。でも、同年齢の類もこの春から高校生だし、周りの環境が変わると忙しいからなぁ。
だとしたら、やっぱり楓が適任か。
「俺は楓を推薦するよ」
「えぇ~、僕じゃないのぉー?」
「・・・悪いな。今年は高三で大学受験だろうけど、楓なら楽勝だろ?」
「えぇ、俺は別に大丈夫です」
シレっとした態度で剥れる朧に無視を決め込み、楓に頼んだ。
「僕の話は無視~?まぁ、いいけどさぁ」
「そんなに拗ねんなよ。朧に任せると後が怖いだけだから」
そう、ある意味Empress全体が恐怖に陥れられる可能性がある。それぐらい朧では不適任ということだ。
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