『溶岩とムカデとビートと雪とお花の話』

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また飛ぶんだけど十三回前の夏の頃に公園の四角の隅っこの緑色のいっぱいある中で俺は三百のムカデと戯れていたんだけどもその日に限ってはムカデは本当に容赦が無くてもう俺は息もできなくなってしまって蹲ってげろげろしててきっと全部出てお花畑に行っちゃうと思ってビートも聞こえないし一人で震えながら居たんだけど、そういうのは良くあることできっとみんな経験してると思うけど俺にとっては慣れた事だけどやっぱり苦しいものは苦しい。俺は基本的に声っておじさんお姉さんかお母さんかにしか出したことあんまりなくて十八回前の夏でそれも終わっちゃったからセンメンキの水とかゲロゲロみたいに何も音は出さなかったんだけどガサガサ音がするからなんだろうって思ったけど小さくなったお姉さんがそこに居た。何か声出してみようと思ったけど出てきたのはゲロゲロで小さいお姉さんの方なんか全然見れなくて小さいお姉さんはきっと逃げちゃうと思ったけど背中が平らになっていく感じがしたのでゲロゲロ押さえて横見たらもう小さいお姉さんというよりかそれはお花そのもので十八回前の夏に白い所を出てから一番綺麗だと思ったもので背中が平らになっていくのと同時に四百位居たムカデが皆静かになってもうビートも全然聞こえる気がしなくてお花は声を出した。それはもう全部覚えてる。 だってあんなに平らになったのは二十と六の夏の中で多分初めてだったから。
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