青夏

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「今日は期末最終日だ。気合い入れろよー」  全く気合が篭っていない顔で、連絡事項を伝える担任を見ていたら、頬にビシビシと視線を感じた。  絶対佐久間だろうと思って横を向くと、やっぱり佐久間と視線がぶつかる。  ほんとのほんとにほんと? と口パクで言かれ、ほんと。とひとこと返すと、佐久間は爽やかな笑顔でピースした。 「佐久間と(たちばな)、真面目にホームルーム受けないと赤点だからな」  担任の声で教室中の視線が集まったが、佐久間は、一緒に赤点補習頑張ろうな。と、親指を立てて言う。  そして、メンタルが最悪の状態で試験最終日が幕を開ける。途中、ちらっと見えた佐久間は、テスト開始二十分で机に突っ伏していた。俺も山張りが全部外れたので、仲良し赤点補習は免れないだろう。 「佐久間、諦めんの早いぞ」  担任に叩かれて体を起こした佐久間は、テスト用紙を顔に貼り付けて大欠伸している。  女子たちの好意を含んだクスクス笑いを聞いて、志音を選んだ理由が気になった。  一年の時も違うクラスだし、共通の友だちもいない気がする。二人が話している所も見たことないし、今まで話題に上がったことも無かった。  古典の問題を解いている筈が、いつの間にか志音と佐久間の共通点を探している。俺が知らないだけで仲が良かったのか、それとも顔がタイプだったのか。  問題の答えも好きになった理由も分からないまま、時間だけが刻々と過ぎて行った。
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