祭りのあと

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「こっちこそごめん。キサラギさんの考えも聞かずに、頭ごなしに怒ったりして」 「いやいや、お前が謝ることじゃないよ」キサラギはぶるぶると首を振り「今回の事態は、俺たちの力不足が原因だ」  と言って肩を落とした。  その横には、正門まで一緒に走ってきた玲がしゃがんでいる。駿河七神と関わったからこそ思うことがあるのだろう。キサラギを見上げる目元はキッと細められていた。 「駿河七神が強かったとしても、桜井さんは一葉に念を飛ばしていたと思います。今するべきことは、過去を振り返るより、桜井さんがどうして忌の神と繋がったのかを調べることじゃないんですか?」 「しばらく見ないうちに強い女になったなぁ。大丈夫、それに関してはちゃんと調べてるから」  門に寄り掛かっていたキサラギが、ビーサンをペタペタ鳴らして歩き出すので、俺たちも後に続いた。  アブラゼミがやかましく鳴く、容赦無い夏の日差しの中、学校前の坂道を三人並んで歩いている。 「で、何か分かった?」  俺の問いにキサラギが口を開きかけた時、後ろからバタバタと足音がした。 「キサラギさーん!」  佐久間は男だが、タイミングだけは悪い。振り返ると白いシャツを靡かせながら、猛スピードで走ってくるところだった。こうなってしまうと、志音の話題は出せない。  俺たちは三人は、『この話しはまたの機会に』という意味の視線を交わし合い、佐久間に向かって手を振った。 「志音は一緒じゃないの?」  俺の横に並んだ佐久間は、にへ、っと力なく笑う。 「しばらく模試で忙しいんだって。今日も自転車飛ばして帰ってったよ」 「へぇ、あいつも大変だな」  俺が何気なく言うと、佐久間は寂しそうに目を伏せて、コクンと小さく頷いた。
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