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ここはロンドンの郊外にある住宅地。
なかでも大きく、かなり目立つ家が一軒。
それがダーリング家の屋敷である。
「ねぇ、姉さん」
「なあに、ジョン。どうかしたの?」
自分で淹れた紅茶を啜っているダーリング家の長女・ウェンディに弟のジョンが問う。
「ピーターとはうまくいってるの?」
「なっ…」
「知らないとでもおもった?」
「だ、だって私、一言もいってないじゃない」
ジョンははあ、と溜め息をつく。
「だいたい、姉さんもピーターもわかりやすいんだよ。というか、まあ僕は姉さんからは直接聞いてないから。」
「つまり、ピーターから」
「そう、聞いたよ。3ヶ月くらい前に」
ウェンディは顔を真っ赤にして、手で熱くなった顔を覆う。
ピーターは今、ダーリング家の親戚の家で暮らしていて、その家はこの屋敷からだいたい歩いて20分くらいのところにある。
ピーターはなんだかんだいいつつ、頭脳明晰で学校でもかなりの成績である。本人は学校へ生きたくないらしいのだが、ダーリング氏がもったいないから勉学に励みなさい、と進学を薦めたのだ。
「ひとつ、お願いしていいかしら」
「それはかまわないけど、何?」
「お願いだから、パパには言わないで」
「んー、なら今回の課題3分の1で手を打とう」
「しかたないわね、ありがとう、ジョン」
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