ピーターパンとウェンディ

4/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「どうしましょう、もうピーターが来ちゃうわ」 ウェンディはいそいそと着替えをはじめる。 昼間は出掛けていて、部屋着に着替えていなかったのだ。 ピーターは、あまり外出用の服を好まない。 デートの時は別だが、気を遣われている感じがしてどうしても嫌だ、と言い張るのだ。 みんなには夕飯も食べさせて、あとは寝かしつけるだけだし、それはジョンに任すのでなにも焦る必用はないのに、やっぱりなんとなくそわそわしてしまう。 もう5年の付き合いになるのに、何度も重なったのに、まだまだ初なのである。 部屋着のワンピースに着替え、3年くらい前から一人部屋になった自室でそわそわしながら待つ。 もちろんピーターは玄関からなんてはいってこない。 なぜかって?ウェンディがバレるのが怖くて窓からの入室をお願いしたからだ。 カーテンと窓を開ければ、もう外は暗く、沢山の星々が煌めく濃紺の夜空が見え、とても明るい月明かりに照らされる。 するとウェンディの視線の端に小さく人影がうつった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!