星空

6/10
237人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
††††††††† 「落ち着け…落ち着くのよあたし…」 1人テントの中であたしは膝を抱えて座り込んでいた 「あ、あいつの好きにはさせないんだから…」 そうやって自分に必死に言い聞かせて、ドクドクうるさい心臓を抑える パチパチ… 「…っ!」 聞こえた! 焚き火の音が… 「よし…作戦開始よ…」 スッ… ゆっくり立ち上がり、深呼吸を繰り返した後あたしはテントの入り口をまくる 空にはたくさんの星が煌めいていて、闇の中に綺麗な光を作り出していた そのせいか、夜とは思えないほど『明るく』視界はこの前の日に比べかなりいい 故にユーリもあたしの姿にすぐ気づく 「リタ!?」 彼は嬉しそうにあたしの名を呼び立ち上がったが、すぐに冷静な笑みを見せる 「どうしたんだ?こんな時間に?」 ユーリの声がいつもより楽しそうなのは気のせい…ではないのだろう あたしはその質問には答えずただ彼に歩み寄った 「リタ?」 不思議そうに名前を呼んでくるユーリ だけどまだ返事はしない ギュ… 「!」 目の前まで来たあたしは、ユーリの左手を取って両手で優しく包み込む 顔をあげて視線を合わせると、彼は何がなんだか分からずに頬を軽く染めて目を逸らす 「ユーリ…今日はもう寝ましょう?」 多分あたしの方が真っ赤になってる… 「リタ…///」 「お願い…///」 手に力を入れると、ユーリはピクリと肩を震わせた 「…分かった…寝るよ…」 …あれ?案外あっさりいったわね… もっと粘るかと思ったけど… 「…うん」 「…あと…ごめんなリタ」 「えっ…?」 予想していなかった謝罪の言葉にあたしは目を見開いてユーリを見据える 彼はちらちらと周囲を確認したあと、少し小さな声で呟きだした 「今だから言えるんだけどよ…俺…」 そこで一度深呼吸をすると、ユーリはあたしと視線を合わせる 「お前の事が好きなんだ」 「っ!///」 事前にジュディスから連絡されてたから、驚きは薄かったけどあたしは嬉しくて飛び跳ねそうになった …もちろんそれは必死に我慢する 「それで俺…勝手に…お前にも好かれてるもんだと思っちまって…だから…その…迷惑だったろ?リタに対する俺の態度?」 めったに照れないユーリが頬を真っ赤にしてこう言うのだ …あたしはもう我慢できなかった
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!