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【~spring~出会い】-2-
4月9日。
春の始まりに胸高まり、
桜の新緑と心地良い日射しに
すっかり眠気を誘われた入学式。
早々…
右耳に不愉快な痛みが走る。
「いでっ?!何すんだジジイ!!!!」
一際大きな声で騒ぐ少年。ちなみに俺。
晴れの入学式っつのに、何なんだ一体!!!
まあ…
後ろから見れば黒髪の普通の少年!だが、
その右サイドには鮮やかなピンク色。
コレの所為だなきっと。
右耳が上に引っ張り上げられ、
ニュートンの万有引力なんてまるで無視。
仕方がないから大人しく降ることにする。
向かった先は明らかに体育科の教官室。
"あああ、めんどいめんどいめんどい"
「ジジイじゃない、私は生活指導の濱名だ。
ったく…入学早々なんだこの髪は。あ?
うちは都立だし、見た目も自由だ。
だがな、初日からそんっ…!」
そこにシィー…と人差し指を唇に押し当て
苦笑いを浮かべた若い男が近付いてくる。
"誰だコイツ。ってかデカ"
頭一つ抜けて大きな"ソイツ"を一瞥して
俺はぷいとそっぽ向いてやった。
「濱名先生やんちゃ過ぎますよ。
それに、まだ入学式終わってないですし。」
デカブツが眉を顰めるのを見たジジイも、
やっと我に返ったのか俺の耳を放す。
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