序章という名のはじまり

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 深夜の繁華街、誰も目を向けないような細い路地裏で闇に溶け込むかのようにそれは蹲っていた。 「どうしたの、大丈夫?」  こちらが近付くとフゥ、フゥと威嚇する獣のような呼吸をしながら睨んできた。  見た目は十代半ばから後半の少年、髪はボサボサに乱れており服も所々破れている。はじめは、喧嘩にでも巻き込まれたのかと思ったがどうやら違うようだ。  彼から微かに血の香りが漂い、唇の端から流れる赤い血の筋。そして周りに散乱している空の輸血パック。
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