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「あんた、だれ……」
こちらを睨みつけたまま彼が問う。警戒心を剥き出しにしたまま。
「心配しなくても僕は君の敵じゃない」
そう言って、笑顔で彼に手を延ばす。
「ウソだ、あんたからたくさん血のにおいがする……」
思わず延ばした手が止まる。気付かれていたか。いつも丁寧に洗っているはずだが、犬や狼の様に相当敏感な嗅覚の持ち主であれば僕の衣服に染み付いた血の匂いに気付くだろう。
紹介が遅れたが僕は角谷藤間。
普段は大学で民俗学を学んでいるが、「葬人(トムライ)」という裏稼業も行っている。
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