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「ありがとうございますっ」
俺の言葉に、不安げだった鏡良の顔はパアッと明るくなる。
「それは良いとして、そいつが飲んでるのって……」
そう、さっきから気になったのは鏡良が手にしているマグカップの中身。
トマトジュースの様に赤いが、それよりもほんのり赤黒く、俺の気のせいでなければ微かに鉄の様な匂いがする。
「うん。血だよ」
「おいしいよ……」
「な……っ」
当たり前、といった風にさらりと答える兄貴とコクコクと頷く鏡良。
解ろうとは思うが、まだ受け入れきれない俺は言葉に詰まり思わず身構える。
その血の入手先など到底聞く事も出来ず。
こうして、俺と兄貴と奇妙な居候の風変わりな日常生活が幕を開けた。
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