第一章 -白の主、旅人の始まり-

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ピリリリリ...ピリリ..ガチャ 「こちら二番隊レイド・キサラギ・・・・」 少女に背を向け壁に手をつきながら、レイドは入り口近くの壁に設置された電話にて、誰とも知れない誰かに内線を繋いでいた。 「総隊長に話があるんだが。・・・・・ああ、ちょっと厄介なことがあってな。・・・・・・・了解、よろしく頼む。」 ガチャ 話はすんだようだ。 もっとも、少女にとっては知る由もないわけではあるが。 「嬢ちゃん。」 ビクッ 草食獣の仔がライオンを見るかのような眼。 小さな体躯が再び震える。 「ああ、そんなに強張ってくれるな。」 恐る恐る、いじめないでと言いたげな顔で、少女は目線をレイドのそれに合わせた。 「ウチの組織には、一から五までの部隊があるんだが・・・」 そういうときの癖なのか、タバコに火を点け、一口吸う。 フゥゥ.. 白い雲のような息を吐き、話を続ける。 「その部隊それぞれに隊員、副隊長、そして隊長がいる。」 言いながら、タバコを口にくわえ、白いシャツの左腕をまくる。 「先ほど言った通り、俺は二番隊の隊長だ。」 無駄な筋肉のない女性のそれに似たしなやかな左腕には、バンドが巻いてあった。 「Ⅱ」の数字とその下に球状のアクアマリンが埋め込まれている。 いわゆる隊証という物である。 「そして、」 シャツを戻しながら、話を続ける。 「そのさらに上に総隊長がいる。」 タバコを口から離し、 「その総隊長に意見を頂く。」 フゥゥ.. 「主神、フィーク=オーディン殿に。な。」 「え?・・・えっと、あの・・・」 「悪ぃな。目ぇ覚めて記憶がねぇ。そんなときに分けわかんねぇ話されて。だが、そうするしか他になくてな。」 ピリリリリ... 「さて・・・」 スゥ..フゥゥ.. 「時間のようだ。」
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