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ピリリリリ...ピリリ..ガチャ
「こちら二番隊レイド・キサラギ・・・・」
少女に背を向け壁に手をつきながら、レイドは入り口近くの壁に設置された電話にて、誰とも知れない誰かに内線を繋いでいた。
「総隊長に話があるんだが。・・・・・ああ、ちょっと厄介なことがあってな。・・・・・・・了解、よろしく頼む。」
ガチャ
話はすんだようだ。
もっとも、少女にとっては知る由もないわけではあるが。
「嬢ちゃん。」
ビクッ
草食獣の仔がライオンを見るかのような眼。
小さな体躯が再び震える。
「ああ、そんなに強張ってくれるな。」
恐る恐る、いじめないでと言いたげな顔で、少女は目線をレイドのそれに合わせた。
「ウチの組織には、一から五までの部隊があるんだが・・・」
そういうときの癖なのか、タバコに火を点け、一口吸う。
フゥゥ..
白い雲のような息を吐き、話を続ける。
「その部隊それぞれに隊員、副隊長、そして隊長がいる。」
言いながら、タバコを口にくわえ、白いシャツの左腕をまくる。
「先ほど言った通り、俺は二番隊の隊長だ。」
無駄な筋肉のない女性のそれに似たしなやかな左腕には、バンドが巻いてあった。
「Ⅱ」の数字とその下に球状のアクアマリンが埋め込まれている。
いわゆる隊証という物である。
「そして、」
シャツを戻しながら、話を続ける。
「そのさらに上に総隊長がいる。」
タバコを口から離し、
「その総隊長に意見を頂く。」
フゥゥ..
「主神、フィーク=オーディン殿に。な。」
「え?・・・えっと、あの・・・」
「悪ぃな。目ぇ覚めて記憶がねぇ。そんなときに分けわかんねぇ話されて。だが、そうするしか他になくてな。」
ピリリリリ...
「さて・・・」
スゥ..フゥゥ..
「時間のようだ。」
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