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もう一人の“小林”くんは、遠まわしに言うと“ふくよか”な感じで、率直に言うと“デブ”だ。
もちろんそんなことは本人には言わないよ!
僕は大人だから、無益な争いはしないってきめたんだ!
「この二人の他にはもういないな?」
部長はそう言い、新入生たちを見渡す。
でも、みんな僕たちに羨望の入り交じったような不思議そうな視線を向けるだけで、前へ出てくる人はいない。
まあ“小林”って名字はそこまでたくさんいるわけでもないし、そんなもんだろうな。
「じゃあ永谷、あとはよろしく。…小林くんたちは一緒に来てくれるかい」
カッコいい先輩は部長に軽く手を挙げて会釈し、校舎の方へ歩き出した。
部長も同じようにして会釈しかえす。
すごい、“仲間”って感じ!
僕とふくよかな小林くんは部長にお辞儀して、先輩の後を追いかけた。
「“小林”ね…もったいないな…」
部長がそうつぶやいていたのなんか、僕たちに聞こえるはずがなかった。
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