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先輩が部室の扉を引くと、強烈な花の匂いが僕たちを出迎えた。
この匂いは…桜?
「ただいまー」
「おう」
「おかえりなさい涼(リョウ)様!」
「おかえり!」
先輩がまるで我が家へ帰宅した大黒柱のように言うと、その帰りを待っていたかのような返事が部室中から返ってきた。
扉を入ってすぐのところは外見のひどさからは想像つかないほど綺麗に整頓されていた。
全部で12個分ぐらいの靴箱に並んだスパイクやボールの入った籠など、疑ってたワケじゃないけど、本当にサッカー部の部室なんだなあと実感。
「なんか、美味しそうな匂いがするね…」
太志が誰にともなく(あ、もしかして僕に?)つぶやいた。
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