豆太の苦悩~豆太の場合~

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「ま、好きにしてていいよ。ここは部員ならいつでも自由に使っていい所だからさ」 涼先輩は言うと、再び雑誌を見つつ桜餅をほおばりはじめる。 僕は先輩の斜め前あたりの椅子を引いて、先輩の雑誌を一緒に見ようとした。 先輩はそんな僕に気付いて、雑誌の表紙を見せてくれた。 ――『月刊・サッカーが好きだ!!』 「これ、僕も買ってます! 新しいの、出てたんだ!!」 「お、同志だね! …はい、桜餅どうぞ」 「ありがとうございます」 僕が興奮して顔を輝かせると、涼先輩は嬉しそうに笑った。 そして、(昨日も食べ飽きた←なんて言わないよ、大人だもん)桜餅をタッパーから出して僕に手渡した。
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