1.出会い

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このスクーターという男。 住んでいる場所はおろか名前さえはっきりしない。 でもメールだけの仲だし、そんなんどうでもいいかなあと思って、とくに追求したりしなかった。 が。 毎日のように続く「会いたいなv」攻撃。 メールだけならいいけど、実際会うなんてムリムリムリ。 断り続けていると、「今からそっち向かうねー」とかいうメールをよこし、本当に私の地元近辺まで来ようとする。 むしろ2回ほど途中まできた。 これだけでも危ない奴…住んでるところ教えなきゃよかった…と思ってはいたものの、それでも毎日メールをしているうちに、徐々にスクーターが気になってきてしまう私。 遊んでみちゃおうか… と、うっかり考え始め、実際そういうメールをスクーターに送ってしまう。 途端。 それまでこっちの地元までくる気まんまんだったスクーターが徐々に変貌していきます。 一日目。 「どこまで来れる?そこまで俺が行くよ」 これに対して私が指定した場所は私の地元から車で30分くらい。 中間地点より、こちらの方がだいぶ近い。 二日目。 「え…?もうちょっと来れない?○○駅とか。」 大幅にスクーターの自称地元に近づく。 三日目。遊ぶ日当日。 「今○○(スクーターの自称地元でさえないはるか遠い場所)にいるからこっちまでこれない?」 おまえ…本当はどこに住んでいるんだよ…。 この時点でふざけんなー的におわっていれば良かったと今でも思う。 とりあえずその日はキャンセルしたものの、既にスクーターのことを気に入ってしまっていた私は、盲目でした。 言われた場所まで行ってやろうと考え始めます。 でも、私の車はナビもついてないし、私自身誰もが認める迷子だし、スクーターに指定された場所に一人でたどり着く可能性はほぼゼロといっても過言ではありませんでした。 そんな私を見かねたK子がなんとも心優しいことに、道を覚える練習につきあってくれると言う。 ていうか練習するとかめっちゃ健気じゃないですか。 そうでもないですか。 ただの阿呆ですか。すいませんでした。 練習日当日。 ちょっと電話で話せないかな?と番号付きのメールを送ってみたところ、即座に鳴る着信音。 きたー 非通知。 つっても、当たり前っちゃ当たり前ですよね。 ほいほい番号教える私の方がいかれぽんちですよね。 しかしこの時スクーターに警戒心がまったくなくなっていた私はスクーターを責め立てます。
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